P-2赤道儀ハーモニックドライブ(以降はHDと略)の記事で,90S赤道儀にも
ふれましたが,同赤道儀の2軸電動化をご予約のお客様から問い合わせが
ありました。概要を紹介します。
90Sは改造方針を変更したので,HDユニットの組み込み状態を紹介します。
写真では,クランプを残せるようにその上部にHDユニットを装着していますが
P-2同様クランプレスに変更しました。
クランプをなくすと,不動点からの鏡筒面までが短くなりウエイトが軽減できます。
また90Sのクランプ部は砲金製なのでかなりの軽量化が図れます。
赤緯側は高速回転できればクランプがなくともあまり不自由を感じません。
鏡筒を下ろす時や収納時に赤緯軸を回したい時は手で回せます。
(電源を切れば保持トルクがなくなるので少し力を入れれば回転できます)
以下はP-2のオリジナルとHD化の比較ですが,HD化の方が鏡筒面までは
短くなっています。
90Sに組み込むHDユニットはP-2用より一回り大きく,強度は約2倍です。
HDユニット自体の許容モーメントとトルクは,共に120Nm(12kgf・m)ほどで
モーメント,トルク共に1m離れた位置で12kgの荷重をかけられる値ですが
これは,90S赤道儀本来の強度より大きいものです。
概ね15kg程度までの機材を搭載した運用を可能にすると思われます。
(実際は鏡筒と三脚の接触などを考慮してモーター電流を抑えています。
筒先などに1kgfほどの力をかけるとモーターが止まる(脱調する)程度で
その力はHD許容トルクの1/10程度なのでHDへ負担はありません)
以下はHDユニット裏面(駆動モーター側)ですが極望の機能も残せます。
なお,JP(J,NJPはバランスシャフトの都合で不可)でも改造は可能ですが
自動導入できないP-2や90Sを優先する都合で当面計画はありません。